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神様のお食事、御神饌(ごしんせん)について

伊勢神宮

御神饌とは?

「御神饌」と目にしても、まず読み方が分からない人がほとんどではないでしょうか。
字の並びからしてどこか神聖なイメージを受けるとは思います。

「饌」という字がまず見慣れません。
これは音読みで「せん」、訓読みで「そなえもの」と読み、この「饌」ひとつで

  • そなえる、飲食をすすめる。そなえもの
  • 食う、飲食する
と言う意味を持ちます。
これに「神」がつきますから神様へのお供え、お食事ということが分かりますね。
「御神饌(ごしんせん)」とは神様に捧げるお食事のことを指しています。

身近な例で言うと、神棚にお供えする「水・塩・米・酒」があり、これは御神饌の基本メニューです。
また、家を建てる前に行われる地鎮祭ではこの基本に加えて果物、野菜などがお供えされることと思います。
神社の行事、お祭などの神事において、まずこの御神饌を神様の御前に献上することはとても大切なこととなっています。

御神饌の作法

仏壇があって神棚もある。そういうお宅も多いのではないでしょうか。
身近な氏神様と伊勢神宮といった大きな神宮の御札を並べてお祀り、というのはよく見る光景です。

とは言えいったい御神饌をどのように並べて、どういった頻度で取り換えるのか。
新たに神棚を設置される時に迷う方も多いのではないでしょうか。
ここでは一般的な御神饌のお供えについて記してみたいと思います。

御神饌は左から「水、米、塩」の並び順ですが、地域によって違うかもしれません。
酒は両脇に置いたりします。榊も両サイドにお供えします。

交換の頻度は

  • お水 → 毎日交換
  • 塩、米 → 毎日交換(あるいは1日15日に交換)
  • 酒、榊 → 毎月1日、15日に交換
と言うのが、わたしの在住している伊勢では一般的です。

この1日、15日というのは神事における「月次祭(つきなみさい)」にちなんだものです。
また、御神饌を入れる容器ですが、最近ではホームセンターの神棚コーナーでも白磁の皿が売られています。
国産のちゃんとしたものがいい場合は、神具店で購入すると姿のいいスッキリきれいな皿を手に入れることができます。
皿を置くための白木の台も三方や八足などを選ぶのも楽しいですよ。

天照大神は一日二食

御神饌の基本メニューが「水・塩・米・酒」であることは先に紹介しました。
では神社の最高峰である伊勢神宮の御神饌はどんなものでしょうか。

こちらは毎日朝と夕方に2回、御神饌をお供えします。
ここで特徴的なのは「お米は蒸したものをお供えする」ということです。

神棚にお供えする御神饌のお米は生の米を使います。
伊勢神宮ではこの蒸しご飯を3杯もお供えするのです。神様めちゃ食べる!

伊勢神宮では忌火屋殿(いみびやでん)という場所で米の調理が行われます。
朝や夕方に外宮を参拝すると、白い米を蒸す蒸気が上っているのを見ることができます(タイミングがよければ…ですが)。
また、神職さんが御神饌の櫃を担いで運ぶ姿をほんの一瞬、参道を横切る時だけ見ることができます。

これを「日別朝夕大御饌祭(ひごとあさゆうおおみけさい)」と言い、
御神饌として塩、米、酒の他に季節の野菜、旬の果物、かつお節や海藻、干した鯛なども供えられます。
ごちそうですね。

この毎日2回行われる「日別朝夕大御饌祭」、1500年もの間途切れずに続けられています。
雨の日も風の日も、また、伊勢湾台風の時も行われていたと言います。

調理と言ってもガスコンロがあるわけではなく、火は熾すところから、水も神聖な井戸から汲んで来るのです。
神職さんはちゃんと装束に身を包み、禊も行い、調理に取り組みます。
そうやって考えると食べることって、本来は大変なことなのだなぁ、と思わずにいられません。

自給自足の御神饌

御神饌はどこかから購入しているのでしょうか。
ここで伊勢神宮がなんの神様なのか考えてみましょう。

多くの神社は私たち庶民の仕事が無事行われるよう、お祈りをささげる神聖な場所です。
パワーをいただける、という場所ではなく、日々の無事、国の安泰を祈念する場所なのです。

古来の仕事の多くは農林水産業で、今でいう第一次産業。
伊勢神宮はお米の神様であることは実際にはあまり知られていません。
「伊勢神宮=パワースポット」ではなく、根本は農耕の神様です。

その伊勢神宮で最大のお祭りがお米の収穫祭である「神嘗祭(かんなめさい)」です。
神嘗祭は10月に行われますが、正月よりも大事なお祭りで、神嘗正月とも言われます。
伊勢神宮にとって稲作は最も大切なものなのです。

伊勢神宮は神様専用のお米を栽培する「神宮神田」を持っていて、伊勢神宮で使われる米はすべてそこで栽培されています。
伊勢市楠部町と志摩市磯部町の2か所にあり、田植え時期も少しずれています。

農作物であることから、ちゃんと収穫に対するリスクヘッジを取っているのです。
中に入ることはできませんが、外から見ることはできます。

また、野菜を栽培している「神宮御園」が伊勢市二見町にあります。
御神饌として使われる野菜、果物を栽培していますが、各季節で確実に収穫。
お供え物に欠品が出ないよう、計画的に多品種を栽培しています。

「神様に満足していただける御神饌」のための努力ということでしょうか。
神宮御園は見ることはできません。

塩も伊勢市二見町で作られており、御塩殿という塩を作るための神社もあります。
こちらは参拝可能です。塩田も外から見ることができます。
いつも塩を作っているわけではなく、作る時期がありますが海水を汲んで作る昔ながらの製法で作られています。

日本の食の原点としての御神饌

御神饌とは、神様にお供えする食事であることが分かりました。
しかし同時に、これらは日本の食の根本でもあると言えるでしょう。
米はご飯や餅として食べることができますが、お酒の原料でもあります。
みりんの原料でもあります。味噌を作る際の麹としても必要です。

またもっとも原始的な調味料が塩です。
日本は島国ですから海水を煮詰めれば塩が作れます。
塩とご飯があれば塩結びができますね。

このように、御神饌とは日本の食の原点です。
稲作を育む太陽、天照大御神(あまてらすおおみかみ)が神宮の神様であることはまさに合点がいくのではないでしょうか。

御神饌のゆくえ

神様への敬意を込めて供される御神饌ですが、はたして神様が本当に食べるかと言うと、もちろんそうではありません。
御神饌は一定期間お供えされたあと、下げられます。
神様から下りてきた食事を食べることを「直会(なおらい)」と言います。
神様と同じものを食べて恩恵を受ける、という意味合いがあります。

伊勢神宮から下りてきた御神饌は「お下がり」とも言われます。
内々で分けたりするのですが、稀に回りまわって一般の人に来ることもあります。
神様から下りてきた食事でありがたい!と、いつまでも取っておきたい気持ちになりますが、
これは逆で、下がってきた御神饌はなるべく早く食べることとされています。

20年に一度の御神饌とは

さて、御神饌について大体分かってきたと思いますが、食べるものならなんでもいいのでしょうか。
例えば豚肉や牛肉は御神饌にはなりません。

じゃあ、神さまがベジタリアン?
いいえ、肉がまったくダメという訳ではなく、鶏や鴨、雉(きじ)などは使われるようです。
けれど印象としては魚介類がメインなイメージではあります。

伊勢神宮の大事なお祭りが年に一度の「神嘗祭」、であることは既に述べました。
それが20回行われると「御遷宮(ごぜんぐう)」となります。

伊勢神宮は20年に一度、すべてのお社を建て替える、というちょっとびっくりするようなことが行われます。
すべて新品になるのです。これは本当に大変な行事であり、数年かけて行われます。
そして、その御遷宮が滞りなく終了し、神様が新しい神殿にお引越しをされる時もまた、御神饌が供えられます。

…20年に一度の…御神饌…

いったいどんな豪華絢爛なお食事なのでしょうか。
もちろん、私たちが実際に見ることはできません。

しかし、模型なら見ることができます。
鳥羽市に「海の博物館」と言う民俗博物館があり、そこに御遷宮でお供えされる、御神饌の模型が展示されています。

海と御神饌がなぜ関係あるのか。
そう、大ありですね。神様は魚介類が大好き。
特に「熨斗鮑(あわび)」は鳥羽市の国崎町という町で作られており、製造過程も詳しく展示がされています。
建物は内藤廣設計ということもあり、建築に興味のある人も訪れています。
自然を征服しようとする西洋的思想とは反対に、自然に敬意を払って生きる日本古来の姿を感じる展示となっています。
御遷宮仕様の御神饌展示はロビーにあり、まさに圧巻のひとことです。
この特別な御神饌の展示、機会があればぜひご覧になってください。



海の博物館所蔵模型

海の博物館所蔵模型

伊勢神宮の御神饌を紹介しましたが、
神様も農耕だけではなく、豊漁の神様、山の神様、水の神様など、民間信仰も含めれば日本各地、実にたくさんの神様がいらっしゃいます。
神様の好きなお食事だってさまざまでしょう。

御神饌は神事に伴うものですから、画一ではなく、地域の事情で色んな形、種類の御神饌が供されます。
みなさまの地域にある神社ではどんな御神饌が供されていますか?