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八ツ橋メーカーを徹底的に比較して八ツ橋に詳しくなりたい【京都名物】

皆様、京都みやげで定番の「八ツ橋」知ってますか?

いま心のなかで「そんなの当然じゃん、知ってるよ~」って思った方、本当に知っていますか?

今回わたしは自信をもって「知っている!」ということができませんでした。

調べてわかったことをこのブログに書き記しておきますので、八ツ橋について本当に知っていると言いたい方はぜひこの先も読み進めていただければと思います。

目次
1限目 八ツ橋について
2限目 八ツ橋を作っているメーカー
3限目 八ツ橋を巡る争い
4限目 どこのメーカーの八ツ橋がオススメか

1限目 八ツ橋について

八ツ橋には「八ツ橋」「生八ツ橋」があります。

硬くて瓦状になっているものが「八ツ橋」、柔らかくて中に餡などを入れるのが「生八ツ橋」です。

昨今では生八ツ橋のほうがビジュアル的にも有名になってきたため、従来の瓦状の「八ツ橋」を「焼き八ツ橋」と言うこともあるようです。

歴史

wikipediaを参考に歴史をまとめました。

1689年
京都府内務部が発行した京都名物紹介本『京の華』があり、その中で八ツ橋の起源について「西尾為治の祖先が三河の僧侶から製法を教わって、1689年に聖護院の森で販売を始めた」との記述がある。※この時の八ツ橋はいわゆる「焼き八ツ橋」とされている

1879年
京都駅に鉄道が開通したのをきっかけに、京都駅で販売されるようになる。

1915年
大正天皇即位の祝賀行事で京都を訪れた人々が買い求めたことで全国的に有名になる。

1960年代
「生八ツ橋」「あん入り生八ツ橋」が考案される。

生八ツ橋イメージ

2限目 八ツ橋を作っているメーカー

ここからが本番となります。僕が一番知りたかったのもここです。

京都府の「京都八ツ橋商工業協同組合」のホームページを確認したところ全部で14の製造メーカーがあるようです。もしかすると組合には所属せずに販売しているパターンもあるのかもしれませんが…。

【メーカー一覧】
(株)聖護院八ツ橋総本店
・(株)都
(有)平安八ツ橋本舗
本家八ツ橋西尾(株)
(株)八ツ橋屋西尾為忠商店
(株)東山八ツ橋本舗
(有)御殿八ツ橋本舗
(株)本家八ツ橋
(株)井筒八ッ橋本舗
(株)京栄堂
・御車八ツ橋本舗
・聖光堂八ツ橋総本舗
(株)白心堂
(株) 美十

では各メーカーごとに、どういった歴史や特徴があるのでしょうか。引き続き調べます。

聖護院八ツ橋総本店

創業:1689年

代表商品はつぶあん入りの生八ツ橋「聖」です。本店は平安神宮の北西、聖護院にあります。

nikiniki という新しい八ツ橋の食べ方を提案するプロダクトもやっているようで、ページをみたところ結構面白そうな感じでした。今度京都行った時に寄ってみようかな。

ちなみに、個人的には聖護院の黒ごま八ツ橋が好きです。

ホームページが無いため、調べても詳細な情報にたどり着くことができませんでした…。画像検索をしてみたところ、左下に「都」と書かれたパッケージの八ツ橋が出てきました。

本店は聖護院八ツ橋総本店と同じく聖護院にあるようです。めっちゃ近い。

平安八ツ橋本舗

創業:1978年

役員2名、従業員数5名ということで比較的小さいメーカーのようです。こちらも本店は聖護院。

オリジナル八ツ橋という面白い試みをやっているようです。興味ある方はぜひ。

本家八ツ橋西尾

創業:1689年

ホームページで歴史を見たところ、日本で一番古い八ツ橋やさんと書いてありました。奇しくも創業年は聖護院八ツ橋と同じ。これについては後々話すことになるかもしれません。

本店はこちらも聖護院。ここまで4店舗全てが聖護院にあることに驚いています。聖護院八ツ橋だけじゃなかったんだ…。

あん入り生八ツ橋の「あんなま」が有名でしょうか。見たらすごい量の種類がありました。チョコミントとかラムネとかは他のメーカーさんでは販売してなさそうです。

八ツ橋屋西尾為忠商店

ホームページはありますが、創業年は不明。こちらも本店は聖護院にあります。

四角い八ツ橋というのを売りにしているようで、買えるのは3店舗だけのようです。レアですね。

東山八ツ橋本舗

創業:1934年

ここにきて初めて本店が聖護院ではないメーカーが出てきました。本店は東山エリア、高台寺のすぐ近くです。

商品としては、ワイン餡入りの八つ橋などがありました。あと東山に本店があるということで、パッケージに五重塔などが描かれています。ちょっと特徴的。

御殿八ツ橋本舗

創業:1949年

本社は京都市の左京区、京都大学などがあるエリアです。古くからあるメーカーが多い中、創業年も比較的最近で、新進気鋭の八ツ橋製造メーカーといったところでしょうか。

本家八ツ橋

創業:1689年

きました、創業1689年ラインのメーカーです。そして2個目の「本家」

本店は二条城の近くで、ここの本店には私も行ったことがあります。コテコテの大阪のオバちゃんみたいな人が出てきて売ってくれたのを覚えています。

いくつも八ツ橋メーカーがあるながで「本家」八ツ橋を名乗るっていうのは結構ハードル高いですよね。

井筒八ッ橋本舗

創業:1805年

主な商品は「夕霧」「夕子」、本店は祇園です。

創業年を見ると、1689年のメーカーと1900年代のメーカーがある中で唯一の1800年代創業となります。

京栄堂

創業:1952年

1900年代創業のメーカーさんです。本店は山科区の椥辻(なぎつじ)で、比較的京都中心部からは離れています。

オンラインショップを見ると、八ツ橋が個包装になっていました。他のメーカーさんだとプラ容器に敷かれているケースが多かったので、これは珍しいのではないでしょうか。

御車八ツ橋本舗

小さいメーカーさんのようで、調べても詳細な情報が出てきませんでした。

本店は東山七条のあたり、三十三間堂や京都国立博物館のあたりです。

聖光堂八ツ橋総本舗

創業:1850年

本店は京都駅のすぐ近くです。「聖護院八ツ橋総本店」と名前がめっちゃ似てるにが気になります。

こちらも小さいメーカーさんのようで、調べてもページが見つかりませんでした。

白心堂

創業:1953年

本店の場所は、これどう言うのがいいんでしょうか。阪急の河原町駅の少し南くらいのようです。

プチクレープ生八ツ橋という、ちょっとおもしろい商品を販売しています。

美十

創業:1946年

有名な「おたべ」を作っているメーカーさん。本店は十条のあたりです。小さい「こたべ」という商品もあります。

「京ばあむ」を作っているのもこちらのメーカーさんみたいです。驚きました、そうなんですね。

3限目 「八ツ橋」を巡る争い

そんだけメーカーがあるなら、争いごとの1つや2つくらいあるだろうと思って調べてみたらやっぱりありました。

【参考】
「八ッ橋」訴訟、なぜ業界各社は沈黙するのか – 東洋経済オンライン
八ツ橋 – wikipedia

1回目の訴訟

聖護院八ツ橋総本店→本家八ツ橋西尾(の前身)
結果:和解

1952年に本家八ツ橋西尾の前身となる和菓子屋が「本家八ッ橋聖護院西尾」として『創業二百六十余年』『本家八ッ橋』を謳ったため、聖護院八ツ橋総本家から訴訟されました。

この訴訟は、西尾側が『聖護院』などを使用しないことで和解が成立しました。和解によって、事実上の八ツ橋の元祖は聖護院八ツ橋総本家であるということが認められたことになりました。

しかし、1969年に京都府が『100年以上続く老舗業者』を表彰した際に「最古の八ツ橋業者」として本家西尾八ッ橋が表彰を受けました。これを不服とした聖護院八ツ橋総本店は、表彰されるべきは自社であるという主張を記した「聖護院文書」と題した冊子を同業他社に配布するに至りました。

2回目の訴訟

井筒八ッ橋本舗→聖護院八ツ橋総本店
結果:敗訴

1805年創業の井筒八ッ橋本舗が、1689年創業の聖護院八ツ橋総本店に対し「聖護院八ツ橋総本店の創業年1689年というのは、確固たる証拠がなく謳うには不十分ではないか」という内容を訴訟したのが2回目の訴訟。

結果は井筒八ツ橋本舗の敗訴。商品の品質を誤認させるものではないとして棄却されました。

詳細ついては、東洋経済さんのページを一通り呼んでいただくのが早いかと思います。

先程も歴史の項目で紹介しましたが、京都府内務部が1926年に発行した『京の華』という文書に「西尾為治の祖先が三河の僧侶から製法を教わって、1689年(元禄2年)に聖護院の森で販売を始めた」ということが書かれているようなのですが、それ以外に証明するような文書が残っておらず、発祥の真偽が不明な点から、ややこしくなっているケースがあるようです。

他に、メーカーによって八ツ橋の見た目の由来が橋か琴で大きく2つに分かれている点も、発祥の不明さに拍車をかけています。たしかにこれは各社のホームページを見ていて気になりました。

4限目 どこのメーカーの八ツ橋がオススメか

これに関しては面白いデータが公開されていました。

【参考】
私たちはお土産にどの八ッ橋を買えばよいのか – 京都大学大学院・京都大学

今回紹介した14メーカーと比較対象に若干の差はありますが、この論文によると「京栄堂」「聖護院八ツ橋総本店」の2メーカーが、他のメーカーよりも美味しいと判断されることが多かったとのことです。

しかしこれはあくまで、ニッキ味のつぶあん入り生八ツ橋を比較したデータであり、それ以外の味のバリエーションや美味しさ・価格は考慮されていないデータとなります。

今回はそのあたりも踏まえて、改めて私の方でも調べてみたいと思います。

比較対象とするメーカー

今回、上記の論文と同じく調べて詳細な情報が出てこないメーカーは比較の対象外とします。

対象のメーカーは以下の通り

・聖護院八ツ橋総本店
・本家八ツ橋西尾
・東山八ツ橋本舗
・御殿八ツ橋本舗
・井筒八ッ橋本舗
・京栄堂
・白心堂
・美十

種目:主要商品の価格(あん入り生八ツ橋)

(安)

おぼこ二色 – 10個入り(御殿八ツ橋本舗)
540円

つぶあん入り生八ツ橋 – 10個入り(東山八ツ橋本舗)
648円

夕子ニッキ – 10個入り(井筒八ッ橋本舗)
648円

あんさん – 10個入り(白心堂)
648円

あんなま ニッキ – 10個入り(本家八ツ橋西尾)
650円

聖 – 10個入り(聖護院八ツ橋総本店)
680円

おたべ にっき・抹茶 – 8個入り(美十)※個包装
702円

つぶあん入り生八ツ橋「小町花伝」- 10個入り(京栄堂)※個包装
756円

(高)

すべてオンラインショップでの販売価格を比較しています。一番安いのは御殿八ツ橋本舗が販売する「おぼこ」でした。

2024年7月にこの記事を更新しているのですが、執筆した1年前と比べて各メーカー50円程度値上がりしていました。以前はギリギリ500円台という価格設定が多かったんですが、値上げによってそれらが全部650円程度まで上がっています。

その中で以前から最安だった「おぼこ」が値上げをしていないため、他と比べて100円近く安い状況になっています。1年前と比べて八ツ橋の中でも価格幅が広がっていますね。

ほかと比べて高いのは京栄堂の「小町花伝」と美十の「おたべ」です。この2つは個包装となっています。他のメーカーにも個包装の商品はありますが、京栄堂と美十は逆にまとめて入ってる商品がないんですね。

また、今回の比較対象には入っていませんが、本家八ツ橋さんのあん入り生八ツ橋は8個で710円だったはずです。ホームページを見たところ、機械化を最小限に抑えて手作業で製造しているようなので、そういう意味では納得の価格設定ではあります。

種目:種類の多さ

(少)

京栄堂
八ツ橋 – 1種(ニッキ)
あん入り生八ツ橋 – 2種(ニッキ・抹茶)
生八ツ橋 – 1種(ニッキ)
合計 約4種

御殿八ツ橋本舗
八ツ橋 – 1種(ニッキ)
あん入り生八ツ橋 – 4種(ニッキ・抹茶・いちごミルク・明日葉)
生八ツ橋 – 3種(ニッキ・抹茶・黒ごま)
合計 約8種

美十
八ツ橋 – 4種(ニッキ・チョコ・抹茶チョコ・いちごチョコ)
あん入り生八ツ橋 – 4種(ニッキ・抹茶・チョコ・きゃらめりぃ)
生八ツ橋 – 販売なし
合計 約8種

東山八ツ橋本舗
八ツ橋 – 2種(ニッキ・抹茶)
あん入り生八ツ橋 – 8種(ニッキ・抹茶・チョコ・いちご・宇治抹茶・ワイン餡・コーラ餡・黒ごま)
生八ツ橋 – 2種(ニッキ・抹茶)
合計 約12種

井筒八ッ橋本舗
八ツ橋 – 2種(ニッキ・衣かけ)
あん入り生八ツ橋 – 9種(ニッキ・抹茶・チョコ・渋皮煮栗・白みそ・いちご・ミルキー・柚子・酒)
生八ツ橋 – 2種(ニッキ・抹茶)
合計 約13種

白心堂
八ツ橋 – 1種(ニッキ)
あん入り生八ツ橋 – 13種(ニッキ・抹茶・みるくあん・玉露あん・赤こしあん・いちごミルク・抹茶ミルク・チョコレート・クリーム入りニッキ・クリーム入り抹茶・さつまいも・くり・かぼちゃ)
生八ツ橋 – 2種(ニッキ・抹茶)
合計 約16種

聖護院八ツ橋総本店
八ツ橋 – 6種(珈琲・胡麻・生姜・抹茶・霜の橋・ニッキ)
あん入り生八ツ橋 – 12種(ニッキ・抹茶・いちご・黒胡麻・ゆず・もも・くり・宇治抹茶・さくら・かぼちゃ・寒天ニッキ・レモン)
生八ツ橋 – 3種(ニッキ・抹茶・桜)
合計 約21種

本家八ツ橋西尾
八ツ橋 – 4種(ニッキ・抹茶・黒胡麻・金箔入り)
あん入り生八ツ橋 – 30種(ニッキ・抹茶・梅・みかん・もも・いちご・さくら・ラムネ・チョコバナナ・チョコレート・チョコミント・焼きいも・栗・マンゴー・青りんご・ビターチョコ・濃ぉ~い抹茶・黒ごま・白ごま・ビターチョコゆず・ビターチョコオレンジ・レモン・紅茶・ミルクキャラメル・ブルーベリー・夏みかん・うぐいす・パンプキン・ストロベリー・塩)
生八ツ橋 – 4種(ニッキ・抹茶・桜・黒ごま)
合計 約37種

(多)

こちらもオンラインショップで調べました。期間限定商品がオンラインショップに掲載されているかどうかなどで差があるかと思いますので、あくまで参考まで。

味についても、その味単体で販売されてるとは限りません。3種セットで販売されていても、それぞれ別の味であれば3つ別々にカウントしています。

一番少ないのは京栄堂。ニッキと抹茶のみという潔いスタンスです。一方で最も多くの味を販売しているのは本家八ツ橋西尾。特にあん入り生八ツ橋の種類がとんでもなく、かなりの種類があります。また、本家八ツ橋西尾の場合は個別で販売している種類も多く、特定の味だけ買いたいときにもオススメできます。

一方、八ツ橋(焼き八ツ橋)の種類が多いのは聖護院八ツ橋総本店です。珈琲や生姜などのフレーバーは他のメーカーにはありません。ちなみに私の友達はこの珈琲八ツ橋が大好きです。

日持ち(あん入り生八ツ橋)

聖護院八ツ橋総本店 12日
本家八ツ橋西尾 7日
東山八ツ橋本舗 21日
御殿八ツ橋本舗 20日
井筒八ッ橋本舗 13日
京栄堂 6月~9月:5日、10月~5月:7日
白心堂 約1ヶ月
美十 10日

製造日からの場合や出荷日からの場合など、メーカーによって基準が違うのであくまで参考程度にしてください。

かなりバラつきが出まして、一番短いのは京栄堂の夏場の5日、長いのは白心堂の約1ヶ月です。ここまで大きく差が開くものなんですね。ただ基本的には生菓子ですので、1週間~2週間程度、開封後は数日で食べ切るのが推奨されています。

おわび

今回はデータだけでの比較となったため、肝心の「味」について触れることはできませんでした。

今度京都に行ったら、いろんなメーカーさんの八ツ橋を買ってみたいと思います。

まとめ

今回は八ツ橋について調べてみました。いかがでしたでしょうか。興味本位で調べ始めただけでしたが、いざ調べてみると歴史ある文化だけあって非常に面白かったです。

今までなんとなくで買っていた「八ツ橋」ですが、この記事を最後まで読んだあなたなら、明確な判断基準を持ってメーカーを選び八ツ橋を買えることでしょう。

もう自信を持って「八ツ橋について知っている」と言って大丈夫だと思います。

引用多めの稚拙な文章ではありましたが、最後までお読みいただきありがとうございました。それでは、また。

八ツ橋メーカーを徹底的に比較して八ツ橋に詳しくなりたい【京都名物】」への1件のフィードバック

  1. 覚張和仁 さんの発言:

    生八ッ橋ではなく、おたべと言う生八ッ橋も有りますが、今回は八ッ橋と名前での比較ですね(^-^)/
    何処のお店の生にしろ焼きにしろ美味しいので文句の付けようが有りませんが生より焼きの方が日持ちするのと枚数が多いので分け与える場合良いですよね(*^ー^)ノ♪

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